平成14年(2002年)1月、東京都世田谷区のA病院でセラチア菌の感染によると思われる集団死亡(血液中から遺伝子的に一致するセラチア菌が陽性の患者12名の内、6名が死亡。他にも、セラチア菌の感染が疑われる患者12名の内、1名が死亡。)が見られました。東京都内では、平成11年(1999年)7-8月にも、墨田区内のB病院でセラチア菌の感染によると思われる集団死亡(セラチア菌が陽性の発症者10名の内、5名が死亡)が見られました。また、平成12年(2000年)6月には、大阪府内のC病院でセラチア菌の感染によると思われる集団死亡(セラチア菌陽性と判明した患者15名の内、8名が死亡)が見られました。医療機関でこのような院内感染によると思われる集団死亡などがあると、その医療機関の所在地の自治体の衛生部局、保健所、衛生研究所などが調査・指導などにあたることになります。各医療機関で院内感染防止対策を徹底して、セラチア菌などによる院内感染を予防したいものです。
平成14年(2002年)1月の東京都世田谷区のA病院でのセラチア菌による院内感染事例後、以下のようなセラチアによる院内感染対策における留意事項が、厚生労働省から示されました。
(1) 今回の事例においては、留置針で血管確保を受けていた患者のうち、ヘパリン加生理食塩水(抗凝固剤のヘパリンを加えた生理食塩水)で血管ルートの抗凝固処置(ヘパリンロック)を受けた者での発症が多く、解析疫学の結果、同時期に同病院で使用されたヘパリン加生理食塩水がセラチアに汚染され、血流感染を起こした可能性が示唆された。
(2) ヘパリンロックは、患者の負担を軽減し、持続的な点滴又は時間ごとの薬剤の経静脈的投与を可能にし医療内容を引き上げたが、院内感染対策上その管理には一層の注意が必要である。
(3) 500ml等の大型容器においてヘパリン加生理食塩水を室温での長時間保存することなどは、セラチア等の菌による汚染の機会を増加させる可能性が高いことが実験的にも証明されたことから、厳重な注意が必要である。
(4) これらの重要点を周知徹底するためには、医療従事者への院内感染防止のための教育と研修の強化が重要である。
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