しかし現在は、200年前はもちろん10年前でさえ不可能だった手段で脳を徹底的に調べることができる。
その一つが「拡散テンソル画像(DTI)」という一種の脳スキャンだ。DTIを使用すれば、脳のさまざまな領域がどのようにつながっているかがわかる。「共感覚者の場合、関連する感覚のつながりが強い」とブラング氏は述べる。
拡散テンソル画像(DTI)
感覚をつかさどる脳領域の結び付きを視覚化すれば、特定の共感覚が存在する理由や、多くの知覚現象が一方向だけに起きる原因がわかるかもしれない。一方向性の例として、数字は色を連想させるが、色から数字を連想することはあまりないという。
すべての人は共感覚の神経機構を持つが、何らかの理由で抑制されているという仮説もある。脳を徹底的に調べれば、その検証が可能かもしれない。
最近の研究で、芸術家や詩人、小説家には、それ以外の人より共感覚者が約7倍多いと示されている。そして、複数の専門家が、共感覚者は関連のないアイデアを結び付ける能力に秀でているという仮説を立てている。
「数年前に協力を依頼したある小説家は、共感覚が隠喩の選択に役立っていると断言していた。彼女によれば、言葉を思いつく前から、何色の言葉にすべきかが見えてくるそうだ」とブラング氏は語る。
共感覚者の中には、円周率を2万2514桁まで暗唱するなど、驚異的な記憶力を発揮する人がいる。とてもよく似た色を見分けられたり、触覚が非常に発達しているケースもあるという。
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