リンの制限について
はじめに:
血液中にリンが増加すると、カルシウムイオンと結合して体のいろいろな所に沈着します。その結果いろいろな症状が出て来ます。皮膚ではカサカサした乾燥肌がみられたり、激しい痒みに悩まされるようになります。関節の周辺では沈着したリン酸カルシウムのために強い痛みをひき起こしたり、関節の腫脹や変形、運動障害などをひき起こします。血管にもリン酸カルシウムが沈着しやすく、動脈硬化を悪化させて脳出血、心筋梗塞、末梢循環障害による手足の痛みや壊死などをひき起こします。高リン血症が長びくとやがて副甲状腺機能亢進症となり、増加した副甲状腺ホルモンが骨を溶かすようになります。すると骨から出てくるリンの為に血中のリンはますます増加してしまいます。
この悪循環が一度始まると治療はなかなか大変です。体の調子が良いうちからリンには注意しましょう。
リンと蛋白質
リンは蛋白質と切っても切れない関係にあります。殆どすべての蛋白質はおよそ1%のリンを含んでいると考えることができます。体重60Kgの人が60gの蛋白質を食べると約0.6g(600mg)のリンを摂取することになります。このリンの量はちょうど許容範囲に収まります。ですから、リンの制限はさほど難しいことではありません。基本的には蛋白の摂取量を守っていればよいのです。
ところが、蛋白質を含む食品の中にはとくべつリンが多いものと、保存料としてリン酸を添加されているものがあり、これらを食べないようにしなければなりません。リンが特別に多い食品を覚えておいて下さい。高リン食品として次の6つが重要です。
乳製品
卵黄
肝臓
獣肉・魚肉加工品
骨ごと食べる小魚
豆類、薮ソバ
高リン食品はこれだけ、と言っても良いでしょう。少し詳しく解説しましょう。
乳製品とは牛乳と、牛乳から作られるもので、チーズ、ヤクルト、ヨーグルト、生クリームなどが含まれます。もちろん、ピザもやめておきましょう。卵黄は鶏卵と魚卵の黄身です(鶏卵の白身はリンが少ない良質の蛋白質で、問題ありません)。肝臓は牛や豚、鶏だけでなく、内臓ごと食べる小魚・エビなどにもありますので注意して下さい。
魚肉加工品とは、干物、塩蔵物、ねり製品(カマボコ、ハンペン、チクワ、なると、がんもどき、つみれなど)、佃煮、瓶詰、缶詰、粕漬けなどです。防腐剤としてリン酸が添加されるためにリンが著しく増加しています。イキの良い生の魚か、とれたまま、あるいは調理せずに冷凍した物を買って来て、料理するようにして下さい。
同様に、ハム、ベーコン、ソーセージ、冷凍ハンバーグなどの獣肉加工品も生のものよりずっとリンが多くなっています。生のお肉を買って来て料理するようにして下さい。 豆類にはアンコ(防腐剤も入っています)も含まれます。蕎麦は更級そばが低リンです。
内服薬のレナジェル、フォスブロック、炭酸カルシウムなどは、リンを便中に排泄させてしまうたいせつな薬です。忘れずに服用下してさい。
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